リック・最後の戦い(本編4)

□第四章
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レジスタンスのメンバーは城から帰ると、それぞれが散り散りになって、思い思いの時間を過ごしていた。
安息の、最後の一日を過ごすために。

ライオットはトリスと、剣術の訓練に励んでいた。この二人は、もともと剣術が好きなのだ。
「はーっ!」
ライオットはトリスに向かって突進する。トリスはライオットの打ち込みを剣で受けた。
手首を切り返し、ライオットはさらに攻撃する。トリスはそれを難無く捌いて、ライオットに蹴りをかました。
「ぐっ…」
ライオットはその衝撃に耐え切れず、よろめいた後に転んだ。トリスは即座に近付くと、ライオットの眼前に剣を突き付けた。
「ははは…負けちまった」
ライオットは頭を掻きながら笑った。
「これで今日は5勝5敗だな」
トリスはライオットに手を差し延べながら、今日の勝敗を計算して言った。
「何っ、引き分けか?」
「そうだな」
ライオットはトリスの手を取って立ち上がると、ぐっ、と拳を作った。
「…次がラストだ!俺が勝って終わりにしてやる!」
「次も俺が勝つよ」
「言ったな?」
「ああ。次も俺が勝つよ!」
「このやろーっ」
二人はとても楽しそうに見えた。
しかし、その眼差しは真剣な者のそれだった。そして、二人とも、「明日」を意識していた。
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