リック・最後の戦い(本編4)

□プロローグ
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「お父さん!」
少女が、老人を呼んだ。
「起きてよ、もうお昼だよ!」
ベッドの上で跳ねる少女。老人はうたた寝を楽しんでいたのだが、こうもうるさくてはまどろみを振り払い、起きるしかなかった。
老人は枕元に置いた両切りの紙巻きタバコを手探りで探しながら、まぶたを開けた。
「…ライターが無い。ノエル、どこにある?」
「ベッドの下に転がってるよ」
ノエルと呼ばれた少女が、ベッドの下を指差す。老人はそれを寝返りをうって取ろうとしたが、自分がベッドの端に居た事を失念していた老人はそのままベッドから落ちてしまった。
「くぅ…」
落ちた身体が痛む。老人はそれでもライターを拾い、タバコに火をつけた。
「…おはよう、ノエル」
少女はノエルと呼ばれた。
「おはよう、お父さん。お母さんが呼んでるよ」
「ああ…リナはなんて言ってた?」
「ご飯だって」
「そうか…じゃあ、降りなきゃな」
それを聞いた老人は、少し面倒そうにくわえタバコのまま下に降りていった。
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