リック・最後の戦い(本編4)

□第四章
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「倒すわー、悪の帝国をーっ」
ナツミは腕をぶんぶん振りながら大声を張り上げていた。
「やっつけ、やっつけ、やっつけろーっ」
否、ただの大声ではない。
彼女は歌っているのだ。
「うちは何にも怖くないーっ」
ナツミの「歌」には、歌詞、音程、拍子、その他、重要な要素が全て欠落していた。
「今日のご飯はなんだろなーっ」
よってこれは、やはりただの大声である。
「うるせえ引っ込め!」
民家からナツミに、かなりの速度で靴が飛んできた。
「危ないーっ!」
ナツミはその靴を拾うとそれを上回る速度で投げ返した。
「今日は靴が飛んできたーっ、明日は帝国のやつらの首が飛ぶーっ」
ナツミの歌(と、彼女が主張する物)は彼女の思い付くままに、延々と続いていた。
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