Rick in cyberpunk(番外編)

□エピローグ
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リックは目覚めた。
見知らぬ天井に見知らぬベッド、そして見知らぬターバンを巻いた男がリックを心配そうに覗き込んでいる。周囲は暑かったが、湿度が高いわけではないため、不快だという程ではなかった。
「…ここは、どこだ?」
「ここはサウリスタ。砂漠の真ん中で変な機械の中に居るあんたを助けたのが俺の嫁ってわけだ。そしてここはここらへんで唯一の病院の、極上のベッド。具合はどうだい?」
ターバンの男が水をくんできた。リックはそれを飲み干す。そして混乱する頭で、状況を整理しようとした。
「俺は…あれ、なんだ?俺は…ロングコートの男に連れ去られて…あいつは誰だ?何故ここへ…おい、今日は何日だ?ロングコートの男を見なかったか?」
「ああ、十一日だけど?ロングコート…?」
「ロングコートの男は来てないのか…で、十一日?何月の?」
「九月。…あんた、記憶が無いのか?」
「そんなことあるかよ。俺はリックだ。冒険者をやってるんだが…ダメだ。今まで何をしていたんだ?九月七日から四日間の記憶が…」
リックは頭を抱えた。どんなに頭を捻っても、その答えが出てくる事はない事くらい、わかっていたが。
「ああ…やっぱり、記憶が無いのか。無理はするなよ。あんたの家はわかるかい?」
「それはわかる。キャロのリック孤児院だ」
リックははっきりした声でそう言った。サウリスタの医者はそれを聞いて、安心したように頷いた。
「それだけわかれば十分だ。冒険者ギルドまで送ろう。とりあえず家へ帰るんだな」
「ああ」
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