ジョシュアとレナ(外伝1)

□第五章
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ジョシュアたちはノーザンゴルドで馬車を借り、それに乗るなり全速力で走らせていた。今はノーザンゴルドの外れにある温泉街の少し先だ。
「ちょっと、ちょっと!さっきから猛スピードで走らせてるけど、いったいどこに走らせてるのさ!?相手の場所は知ってるの!?」
コリンの問いに、ジョシュアは苛立ちをあらわにして答える。
「わからないのか、エワンだ!俺達はエワンに行くしかないんだ!」
そう言うと、ジョシュアは馬に鞭を入れる。
「だからって!もうやめてあげてよ、馬が死んじゃうよ!」
それを聞いたジョシュアは、舌打ちをしてから馬を減速させた。
「全く、何を急いでるのさ!」
馬車を降りると、ジョシュアを責め立てるコリンの言葉に続いて、タロンもまたジョシュアを責める。
「そうだ。今、焦って何になるんだ?」
ジョシュアはもはや、感情を隠す事もなく、馬車の車輪を苛立たしげに蹴りながら二人に向かって怒鳴る。
「うるさい…焦らずにいられるか!」
怒鳴り散らすジョシュアを、レナがおびえた表情ながらもなだめようとした。
「な、何があったんですか…焦るにも、理由がありますよね…?」
その言葉を聞いたジョシュアは、レナを睨みつける。レナはその凄みに、体を震わせた。
「…これ以上、俺のために犠牲を増やしてたまるか!」
その言葉に、何者も反論できなかった。だが、コリンが恐る恐るといった様子で、こう言った。
「…でも、このままじゃ戦いの前に体調が崩れそうだよ。お腹も減ったし、何よりくたびれたよ。馬車だって揺れまくって、快適とはいえないからさ」
その言葉で、ジョシュアはまた舌打ちをした。しかし、コリンの言う事も、至極もっともだ。
「…仕方ない、今日はここでテントを張る。明日は…」
そこまで言って、ジョシュアは突如黙った。
「…どうしたんですか?」
レナが聞くと、ジョシュアは人差し指を唇に当てた。レナはその合図で口を閉じ、周囲に気を配った。…何かが、居る?
一行は、周囲を警戒した。
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