殺し屋リック(短編・グロ強)

□ケース9・麻薬と廃人と
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かつん。リックが自分の武器の手入れをしていると、窓枠から聞き慣れた音が聞こえた。
「また仕事か…」
最近は仕事が多い。リックはため息をつきながらまち針を回収し、木乃伊館へと向かった。

「来たか」
依頼人らしき人物は老人だった。横には無気力そうに座っている男性もいた。
「傷跡と呼んでくれ」
リックと老人は握手をかわした。
「わしはエドウィンじゃ」
「そうか。それじゃエドウィン、依頼を教えてくれないか」
リックは話を促した。
「横に居る男を見てくれ」
「ん?ああ…」
「これはわしの息子じゃ」
「ああ。それで?」
「今ではもはや廃人じゃ…それもこれも、麻薬のせいじゃ」
どおりで無気力だ。よだれが垂れているのに気付いていないようだし、視線はどこを見るともなくうろついている。
「そうか」
「お前さん達にはわしの息子に麻薬を売った組織の頭を討ってもらいたい」
「ああ、わかった…だがな、」
リックはそこで一呼吸置いた。
「エドウィン。お前も俺の流儀には従ってもらう」
ダガーをテーブルに突き立て、リックは話を続けた。
「お前の恨みの分、自分で自分に傷をつけな。その傷の深さで相手にどれだけ苦しんでもらうかが決まる」
「な…」
エドウィンはその奇妙な注文に戸惑い、絶句した。だがエドウィンはリックの沈黙を受け、しばらくの後にダガーを手に取り、自分の手を、まるで標本の如く、テーブルにぐさりと突き刺した。
「…これでどうじゃ」
「十分だ…この依頼、たしかに引き受けたぜ」
リックは血まみれのダガーを受けとり、にやりと笑った。
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