SHINHWA NOVEL 4(恋愛小説)
□エマのバレンタイン(heart blanket特別編B)
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「いいにおい!」
オーブンから溢れてきた甘いチョコレートの香りに思わず笑顔になる。
里江おばさんはその私を見て笑った。
「エマちゃん、このガトーショコラ、誰に上げるの?」
「え?ふふー…内緒」
「内緒??教えて欲しいなぁ〜」
「えへへ…あのね、あの…」
「好きな男の子が出来た?」
「うん…あっ、パパには内緒だからね!」
「あははは…ママは?」
「ママは知ってるんだ〜」
「同じ年の子?」
「うん、塾が一緒なの」
「そう」
「でね、バレンタインの日、塾の後に遊ぼうって言われたんだ」
「へえ…それでケーキを上げるんだ?」
「うん!」
食べやすいようにカップに入れて作ったガトーショコラ。
「パパにはあげないの?」
「今日これを持って帰って、食べさせてあげる」
「ふふ…喜ぶわよ〜…エマが自分の為に作ってくれた、って」
「パパの為じゃないけどね」
そう言って私が笑うと、里江おばさんも笑っていた。