碑文の棚

□カラクレカラカラ オモカゲホノカ
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クスクスクスと笑い声
トクトクトクと生命の
サラサラサララ鼓動が響く


――――遠くで雨の音が弾けた―――



シトシトシトと雨の音
カラカラカラカラ歯車の
トクトクトクと何の音?
キシキシキシキシ軋んでる

「龍斗―――」
「っ!天………」
苛烈の朱に、夕日凪ぐ紅が重なった―――
「?」
霞み掛かった意識を引き戻せば、不思議そうに覗き込む人物とまともに目が合った。
「なん‥でもない‥‥。どうかしたか?京梧。」
「どうしたも何も、そんな所にいたら濡れるだろ」
呆れたようなその言葉にようやく雨が降ってきたのだと気が付いた。
欠けた想いが、チリチリチリと胸を焼く。
振り切るように庭へと飛び出し、わざと雨に濡れる。「なっ馬鹿っ!!なにやってんだよ!!!」
驚く声には笑顔で答えた。それに何を感じたのか、京梧は無言で寺の中へと戻っていった。
声 に、出してはならないこの願い。
大丈夫、大丈夫だ。
自分はまだ戦える。
たとえ声にだせずとも、想いのすべてがそれに向かっている。
決めたのだ。
また、彼らの笑顔に出会うため、彼らと共に在るために。


―――…それでも、だけどそれ でも‥‥‥
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