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□カラクレカラカラ オモカゲホノカ
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のばした手は袖口にさえ触れる事無く、虚しく宙を掻き、告げる何かはこの胸を強く、強く揺さ振った。
やがて流れはじめた温度の違う水たちが、その頬を辿っていく―――

「―――っぁああぁあっっ――!!!!」


触れられなくともいい。
―――ただ、ただ‥‥‥
その、姿 を、一目で、一目で いい――



ズキズキズキと泣いているカチカチカチと求めてる



―――遠くで水が流れていた―――



スルスルスルと擦り抜けたそれが何かがわからない



「若‥‥?どうかしましたか?」
「―――いや‥‥」
(泣き声が‥‥‥雨の音、だったのか?)
わかったのは片腕の淋しさ―――



シトシトシトと雨の音
カラカラカラカラ歯車の
トクトクトクと何の音?
キシキシキシキシ軋んでる



END
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