耳元で呼び鈴が鳴り響いた



目をつぶってその音に耳を傾けた






1回…2回……





あと何回で君に繋がるだろうと思うと胸が高鳴る




プツっと回線が繋がる音がして目をゆっくり開けた







『はい、もしもし…』




間違いない、君の声だ―…


何だか少し安心して頬が緩んだ







「あ、俺だけど…」


『うん、どうしたの?』


「んー?別に…」






そっちからかけてきたのに?て向こうでクスクス笑った



君の優しい笑顔が頭に浮かんだ






『なんかあった?』




柔らかい声がじんわりしみた



胸の奥がきゅっと少しだけ締め付けられた気がした







「…声が、聞きたくなったから―…」






素直な気持ちだった





俺だって男だから弱いところはあんまり見せたくない


やっぱカッコ悪いし?




でも少し寄り掛かりたくなる時もある






『偶然だね…』


「ん?」





耳元がくすぐったい



君の優しい声が俺を包み込んだ






『ちょうど私も同じこと思ってた…』


「え?」








以心伝心?て嬉しそうに笑った








あぁ、どうしよう


今すぐ君の元へいって思いっきり抱きしめたい




君が愛おしくてたまらない








「なぁ…」


『ん?』





時計がカチッと動く音がした






「もう少し…もう少しこのまま

声聞いてていい?」


『…―いいよ』







俺はゆっくりと目を閉じて君の声に耳を傾けた











 きみの声








好きだよ、と



距離を埋めるように溢れる想いを囁いた







 - end -









[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ