□早鐘
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夢よゆめ恋しき人に逢ひ見すな

さめての後にわびしかりけり


















あれから

三日に一度は
私に会いにきてくれる

あれから

毎晩 毎夜
私は夢で貴方に出会う

目が覚めた時
かなしみを覚えた







この気持ちは

どう言った言葉なのでしょう?

どう言った感情なのでしょう?

恋しい

どうしてそう思うの?

好きです

それは皆とは違う気持ちの好き

愛してる

それは違う
まだわからないの

愛おしい

貴方が近くにいるだけで
そう思ってしまう


接吻をくれるのは好き

照れてしまうけど


頬を撫でて 髪を撫でられるのは好き

くすぐったいけれど


抱きしめて貰うのは大好き

貴方の心音が心地良いから


貴方に首筋を舐められるのは怖い

どうしていいかわからなくなってしまうから


貴方が私の肌に触れるのが怖い

私が私でなくなってしまうようで


接吻の痕をつけられるのは不安

私は貴方の物で良いの?


貴方が私に向ける視線が怖い…

けれど違う気持ちもあるの


終わった後 柔らかい笑みを
私を抱きしめてくれる貴方が好き


でも どうして こんな事するの?


わからないの わからない事だらけで






でも 拒んでしまったら






もう 会えない気がして







怖いの






ねぇ
早く
早く私を優しく抱きしめて











抱きしめてくれたら














もう少しだけなら









我慢 できるから






















明日にはきっと来てくれる
首筋の痕が消えかけているから

また新しい痕をつけに
貴方は会いにくる


怖くて 嫌だけど

貴方に会えないのは
もっと嫌なの


貴方に必要とされないのは
何よりも怖いの
















夕方が過ぎて
陽が暮れる間際に

貴方が待っている
村から離れた
小さな旧家へと向かった

前の夜から続く音に
心を体を
急かされるように
足が動く










「殺生丸さま…」

私が貴方の名前を呼ぶと
きらきらした夜の始めの光を纏った貴方が
そっと名を呼び
手を伸ばしてくる

私は貴方の手を握り締めて
もう片方の手に
帯の後ろ 腰を捕まえられて

腰を降ろしたままの貴方へと
たくさんの接吻を落としていった











私が今 心に浮かぶ 文字を



表すように



抑え切れなくなった熱を冷ますように
何度も何度も
貴方の唇を求めた














ふっ ぁ

ゃ…ぁんっ


はぁっ…んっ ぁっ




















殺生丸さま…

大好きなの


どうしたら
貴方は私を見てくれますか?


息が苦しい

胸が苦しい

体が熱い


大好きな貴方が




こわいよ




大好きな貴方と一緒なのに





さびしいよ





早く終わって



心の中でそっと思う
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