『LOVE REASON』
□第10話「土曜の夜は…」
1ページ/8ページ
「……はぁ。はぁ…。」
…走り始めてから2分。僕は当初の展開とは正反対の状況にあった。水嶋さんに追い抜かれるどころか波音さんや篠沢、果ては助け舟を出したつもりの駒木にまで先を越されてしまった。
「…はぁ…。」
両手を膝に付けて少し休んでいると、
「…はぁ。はぁ。はぁ…。平野君。」
僕の目の前に水嶋さんが息を切らせて走ってきた。
「…水嶋さん?」
走ってきた理由も分からず目を丸くする僕を、
「迎えに来たよ。一緒に走ろう。」
そう言うと、何の躊躇いも無く僕の手首を掴んで走り出す。
「…わわっ。待っ……」
僕は息も整わないまま引っ張られるように再び走り出した…。