戴き物
□+αの無い空間
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「ム…ヤコ、『謎』の気配だ」
「はいはーい」
空は高く、青く。
辺りはまだ蒸し暑さを残す中、今日も探偵事務所の二人は『謎』を解きに仲良く事務所を出た。
「早くしろ、ノロマ」
「ネウロが早すぎんのっ!」
「しょうがない奴だ…そら」
「ん」
魔人の差し出した手を躊躇なく少女がとれば、自然と握られる手と手にぬくもりが通う。
弥子はそれを感じて、ネウロに気づかれないよう小さく笑った。
そんな弥子に気づかずネウロはやはり、弥子からのぬくもりを感じ、声に出さなくとも満足げな顔をした。
お互い、なんとはなしに弾む心を抱えて、ネウロの食糧である『謎』の元へと急いだ。
――――――
「こんにちはー」
いつも通りに弥子は軽く挨拶をして現場に近づき、くたびれた背中を探す。
しかし、ぐるりと辺りを見回しても見つからない。不思議に思った弥子だったが、次の瞬間目に入った後ろ姿に目を見開いた。
「どうした、ヤコ」
固まってしまった弥子にネウロは首を傾げた。すると、弥子は苦々しい顔をネウロに向け、そっと今まで視線を向けていた場所を指さす。
するといきなり、その背中を向けていた人物が弥子たちの方を振り返った。
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