過去拍手

□Agape
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Agape

愛、ってなんだろう、と思う。

キリスト教におけるその定義は、自らを犠牲にして他の人に無償で与える慈しみの心、らしい。
けれどそんなものを与えられる人なんていない。この現代の世界において。
人間なんてみんな、究極的には自分が大事だ。
もしもそんな感情をあらゆる人が持っていたなら、アイツが求める「謎」なんて誰も生みだしはしないだろう。

けれど極稀に、本当に極々稀に、自分の命を犠牲にしてでも守りたい相手が現れる人もいる。
それはただの偽善だと、あいつなら言うだろうか。
それとも、自己陶酔だというかもしれない。
自分を英雄に見立て、それに酔うだけの単なる自己完結行為だと。

でも、それなら何故あなたは私を守った?
電人の、彼の手下の狂った手から私を守りぬいた?

ほら、答えられないでしょう。

代わりの探偵を探すのが面倒だった?そんなの嘘だ。
あなたほどの存在に、代わりを探す手間なんて何ほどのこともないだろう。

現に、私をこれほど有名にするのにこれだけの時間しかかからなかった。

独占欲だと、あなたは逃げるかもしれない。
けれど、渇愛し愛着することだって、愛のひとつの究極だ。

あなたが私を求めるかぎり、あなたの愛は私のもの。
私があなたの隣に立つかぎり、私の愛は永遠にあなたのもの。



それはただの偽善だと、あなたなら言うのだろう。

けれどもし「無償の愛」があるなら
それを私が向ける相手は、あなた意外にいないだろう。



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