おお振り

□すろーぺーす
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練習の後、元希さんが一緒に帰ろうと言ってきた。

元希さんから誘ってくるのは初めてで、オレは内心緊張しながらも誘いに乗った。

期待とか嬉しさに気持ちを弾ませながら着替えた。

話がつまらなくならないようにあらかじめ乗ってくれそうな話題を探しておく。

「おい、早くしろよ。」

考えていたらはやくも元希さんは着替えが終わったらしい。

「はい!」と返事を返すと

オレは慌ててシャツのボタンを留めた。


元希さんはものすごく機嫌が悪かった。

誘われたのは嬉しかったが、何もこんな時に誘わなくても良かったんじゃないだろうか。

元希さんが何を考えているのか分からなくて、俺は黙ったまま元希さんの後ろを歩いていた。

あまり広くもないが、端を歩いている元希さんの隣はとても寂しそうで。

無言の背中、近づく家。

オレはただ

あんたと一緒に歩きたかった。

後ろじゃなくて、隣を。


これからもオレは追っていかなくてはいけないのだろうか、

あんたの背中を。

追いつくこともできず、
ただ黙ってついていく。

"一緒に歩いてもいいですか?"

返事を聞くのが怖かった。

意気地なしの自分が、

憎いです。

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