ぜんてい
□春風に乗って来たものは
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へくち。
なんとも可愛らしい音がしたので隣りを見ると、ツナがうーと唸りながら鼻を擦っていた。
「なに。ツナ花粉症?」
今頃応接室で同じようにくしゃみをしているであろう想い人を思い出し、オレは小さく笑ってツナの頭をかき混ぜた。
「んー。そうかなあ?」
最近止まんないんだよねと言って再びくしゃみをしたツナに、オレはある事に気付いて眉を顰めた。
「…なぁツナ。ちなみに症状は?」
目痒かったり、と問うとツナはそれは大丈夫と笑ってまた鼻を啜った。良かった軽い方でと笑うツナに、良かったな〜なんて言ってやらない。オレは眉間の皺をそのままに再び質問。
「もしかして喉痛かったり、頭痛かったりー…熱っぽかったりする?」
するとツナはぽかんとした表情を浮かべ、そういえばと言って視線を泳がした後なんで分かったの?と首を傾げた。
やっぱり。人の事は鋭いのに、どうして自分の事となるとこうなのだろう。よく考えたらオレの周りにはそういうやつらばかりだ。
「ツナ。いいか?」
オレは立ち止まって目線を合わした。…やっぱり少し熱っぽい。
「それは花粉症とは言いません
―…風邪といいます」
え?とツナが発する前に、オレは小さな手を引いて来た道を戻る。目的地はもちろん沢田邸だ。
今頃自宅のベッドで春特有の眠気と葛藤しているであろう獄寺にメールを打って、オレはははっと乾いた笑いを洩らした。…まさかな。
春風に乗って来たものは
(花粉ではなく)(風邪菌だ!)
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実話。花粉症じゃなくて風邪引いてた!ばかすぎるあたし…
ちなみにヒバリさんも花粉症じゃなくて風邪。年に4回、きっちり季節の変わり目に体調を崩すヒバリさん。
2009.03.23 ウキ