BLEACH

待つ役
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白い雪が落ちていく空を見上げる。
ぼたん雪は一護の顔に落ち、溶けて水滴となる。頬から流れるそれはまるで涙のように。

「冬獅郎」

雪の化身と見紛う色彩と能力を持った死神を想い描く。一時も忘れることの無いあの姿。

『日番谷隊長だ』

言い直す声は聞こえない。
名を呼ぶ度に虚しさを感じるが、呼ばずにはいれないこの葛藤。

「…っ、冬獅郎」

『あたし、信じてるわ。隊長はきっとどこかで生きてる』

いつも陽気な女性が、自分に言い聞かせるように語ったのは二年前。

『あんたが信じなくてどーすんのよ』

背中を思いきり叩かれた痛みを、一護はまだ忘れてない。

「何処ほっつき歩いてんだよ、冬獅郎」





「『日番谷隊長だ』って言ってんだろ」





「…え」

待ちわびた、聞きたかった声が聞こえた。一護が耳を疑ったのと同時に、それまで感じていなかった懐かしい霊圧。
振り返った先、ボロボロの死覇装を纏った姿があった。

「冬獅、郎?」

呆然と名を呼ぶ一護。
少し背が伸びたのか、成長した一護との目線の差が昔と変わらないままだ。

「だから…ひつ」

訂正しようとした冬獅郎は、あることに気付いて眉を寄せた。

「黒崎…あれから何年経った?」
「七年、だよ」
「っ!!」

そう。冬獅郎がいなくなって七年の月日が過ぎた。

「待ちくたびれたぜ」
「すまん」
「お帰り」
「……ただいま」

二人初めて交わすその言葉に、くすぐったさを感じながら微笑んだ。

「行こうぜ、尸魂界」
「あぁ」

腕を掴んで走り出す。
きっと尸魂界では乱菊が宴の準備をして待っている。七年間開いてきた宴。
主役がやっと帰ってきた。

「冬獅郎!誕生日おめでとう」
「……日番谷隊長だ」



end.

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