紫の愛
□弐章
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嘘吐きなブリキ野郎。
俺の最初の印象はそれ。小難しいこと言って誤魔化して俺の場所を奪った。
かっとなって殴った体は細くてか弱くて、その晩は後悔で眠れなかった。
君の国に侵略された頃には打ち解けていたけど、そのまま俺達は別れ――。
僕達は、姿を変えた日本で再び出会った。
早朝のアッシュフォード学園。始業より一時間も早い現在、既に全校生徒が集まり終わっていた。
「おはよう皆」
壇上に上がり、語るは理事長の孫にして生徒会長ミレイ・アッシュフォード。
「今日集めたのが何の為かわかってるわよね?」
ミレイの言葉に浮つく生徒達。ルルーシュはそんな彼等を壇上脇から冷めた瞳で眺めていた。
「ルルーシュ」
「なんだ?リヴァル」
「前列のやつらがお前の顔見て青ざめてるんですけど」
「気のせいだろ」
「いやいやいや」
リヴァルの言うことに気がついてはいたが、ルルーシュは今一般生徒に配慮している気分ではない。
「いいじゃないルル。たまの息抜きのお祭りなんだから」
「そうだよ、楽しまないと」
にこやかな体育会系。
こそこそと話す生徒会メンバーにちらちらと視線を送る生徒は少なくない。
それらを冷めた目線で突き放しながらルルーシュは呟いた。
「毎回男のファンが増えるイベントのどこを楽しめと」
「あぁ、まぁ……」
格好を嫌がるわけではないルルーシュの言葉に前回の悪夢というべき事態を思いだしたのかリヴァルの頬が引きつった。
「今日から『男女逆転祭り週間』開催よ!!」
ミレイの声が高らかに響いた。
「はい、スザクの分♪」
「あ、はい」
常の笑顔のまま手渡された物。
白い箱に丁寧にブルーのリボンで装飾までされている。
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