反逆 弍

次女と
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※ルル皇族設定





「ちょ、姉上苦しいです」
「我慢しろ」

衣擦れの音と共に上がる声。侍女もいないコーネリアの私室。

「いくらお前が細くても、やはり括れが男性的と言うか、詰め物をして女性的な柔らかみを出さねばっ」
「っ!!」
「ん?やり過ぎたな。少し緩めよう」

強すぎる力で締められたコルセットはルルーシュの息を詰まらせた。
少し緩められ、楽になった呼吸に安堵する。正面の姿見を見れば、詰め物とコルセットで柔らかみのある括れが男である自分に出来ていた。

「………」

戯れで兄姉達にドレスを着せられたことはあるが、コルセットまで付けられる日が来ようとは。悪夢かと思える体型に口からは恨み言が零れた。

「なんで俺がこんな格好を…」
「仕方ない」

きっぱり言い放ったコーネリアにルルーシュの眦が上がった。

「仕方なくありません。せめて妹だとでも誤魔化してくれればよかったものを」
「ユフィ以外の皇族の写真を持っていたら叔父上は良い顔をしない。行儀見習いとしか言い様がないだろう」
「そもそもあんな写真を持ち歩くのが悪いです」

いつになく機嫌を損ねているルルーシュに気付いたのだろう、コーネリアは強気の態度を引っ込めた。
バツが悪そうに視線をさ迷わせ、言い訳を口にする。

「あれは…ルルーシュの写真を常に持っていたくて」
「何もあんなのじゃなくていいでしょう」
「普段はユフィやナナリーとの写真も持っている。あの時だけ偶々、ドレス姿のあの一枚しか持っていなかったんだ…すまない」

謝罪されても現状が変わるはずもない。だが、嫌いな女装姿を見られて普段より余計に気が立ってしまったのと、何時も強気な姉のしゅんとした顔はルルーシュに罪悪感を抱かせるに充分だった。



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