その他

黒い髪
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闇に包まれたボンゴレ本部。
雲雀恭弥と草壁哲矢は静かな廊下を進む。長年の癖か、磨かれた大理石の床だというのに足音はしない。

「恭さん。この後食事の誘いが来てますけど、どうしますか?」
「誰」
「六道さんです」

名前を聞いた瞬間恭弥の眉間に皺が寄る。以前のセクハラ百パーセントの食事を思い出したのだろう。

「僕が行くと思うの?」
「一応確認です」
「何なら哲一人で行っておいで」
「謹んで遠慮します」

そんな冗談とも本気ともつかない会話をしながら歩く。ふと恭弥が足を止めると、前方に人影が現れた。

「よう、雲雀。おかえり」
「………何か用?」

「ここ二年くらい会わなかったからな、久々に顔見たくて」
「見なくていいよ」

恭弥の無愛想は何年経とうと変わらない。顔に傷が増えた山本武は、気にもせず言葉を放つ。

「んな寂しいこと言うなよ」
「山本さんは、明日からまた任務らしいですね」
「そう、まあ今回は早く終わりそうだけどな。その前に雲雀と会いたくて」
「僕は別に会いたくない」

一言で切り捨てて恭弥の足は奥へ進んでいく。
一つにくくった髪が少し遅れて風にそよぐ。
無精で三年程鋏を入れていない髪は、そろそろ腰に達しようとしていた。露になった額は涼しいが、手入れはかなり面倒臭い。
その恭弥の後ろ姿を眺めていた武が、ふと爆弾を投じた。









「雲雀の後ろ姿、骸とお揃いだな」
「やまもっ…」


ガキッ!!


武を狙った高速のトンファーは刀の鞘と哲矢によって阻まれた。

「ワォ、よくも邪魔したね哲。二人とも咬み殺すよ?」
「もう咬みついてんじゃん」
「恭さん、守護者同士の戦闘ならびに殺し合いはご法度です」
「知らないよ」



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