クラブTOSEI

□りおのりは理不尽のり・第四夜・3
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10階はあるよな‥?


築年数も浅そうだ。玉虫色に光るタイルで覆われたマンション。


入口で準さんがカードを差し、暗証番号を打ち込むと自動ドアが開いた。


開放感のある玄関ホールだ。見回してしまう。オレは自宅通いだから、寮に入るのは初めてだ。

「おい、そこで靴脱げよ」

来客用と泊押しされたスリッパを投げ付けられた。履き代えて上がると、敷き詰められたじゅうたんに足が沈み、一度身を引いてしまった。


「女性連れ込み厳禁」。
大きな標語を横目に、エレベーターに乗り込む。


「そうだ、迅って個室になったんスよね。1Kですか?」

「2DKだけど」

マジか。オレの部屋の何倍だよお‥。


定員6名。小さなエレベーターがゆっくり昇る。



(あ、慎吾さんちとほとんど同じだ)

エレベーターを降りると、全くドアのないフロアだった。少し歩いて「10B」と番号の入ったドアの前に立つ。

カードを通すと音がして、準さんが取っ手を引く。

「入れ」


あごで誘導される。段差のない玄関。長い廊下を抜けるとリビングが広がった。

準さんが窓を開けると初夏らしい空気が流れ込んでくる。

「座れば」

明るい色のソファを足でさす。そしてダイニングキッチンに入って冷蔵庫を開けた。


「あれぇ‥?」
「どうしたよ」


オレンジジュースのパックを持って来た。今これを出した冷蔵庫は準さんの腰の高さしかない。さっきの買い物入るのかなあと思いつつ、出されたグラスをあおる。

あまりにも滑らかに液体が喉を通った。


「あー!これおいしいスよね〜。生協のみかんストレート」

「だろ?やっぱ国産温州みかんだよな。濃縮還元なんて‥」


話につられた準さんがふと言葉を止める。向かいのソファへ身を投げるように座った。

「お前、それ飲んで落ち着いたらカエレよ」

「や、やですよ。オレは準さんと仲直りしたくて来たんです。そんなに女装やですか?オレより準さんの方がチェキられてたのにさぁ‥儲かったでしょ」


「オマエ、それ嬉しいか?考えてもみろよ。オマエの兄貴があんな格好したらどうよ」



ああ‥!!
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