よろず小説

□トイレの花子さん
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夜は壁が青く光る。昼とは違う顔がある。



築30年程の校舎。天井は電気系統の配線が剥き出しだ。そして迫り来る程低い。

熱を出して運ばれた病院に似ている。音がなく、冷えた空気が肌に触れる。





―1階の東の突き当たりにある便所、あそこのウンコ部屋、いるんだってさ。




昼に田島が笑っていた。




水谷は思い出して笑った。


高校にもなって花子さんはないだろ。


見上げる。


「男子便所」と書かれた札。


蛍光灯が切れているのか、ぎこちなく点滅している。



整美委員が取り替えないんだから、サンダルに履きかえる必要もない。上履きで入ってしまう。



全てが青いタイルだ。天井はすすけている。水谷は小便器に立ってタンクを空にする。


麦茶とおにぎりが終わればグラウンドから引き上げるから、このトイレが一番近い。


わかってて言ってるんだよな、田島の奴は。


自分の窓を閉めると便器が勝手に水を流した。少しだけドキリとした。
このトイレは一定時間経つと水を流す仕組みになっている。

非常に古い作りだ。
 
 
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