よろず小説
□ウォーターガーデン
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「で、女の子は見つかったんですか?」
慎吾さんは後ろ頭をかいた。「なんかさ、声かけるとみんな大学生なんだよな‥年上におごるほどカネないし。かといって下だと小学生と同じに見える」
プールガーデンは芋洗い状態。みんなテキトーにレジャーシートで陣取り、日焼けしたり飯くったりしている。オレらはテリトリーにできるわずかな隙間をぬって動く。
「あーもう!」
オレは吐き出すように叫んだ。「なんでみんなバックレるんだよ!何が楽しくて男二人でプールなんですか。ねぇ慎吾さんっ」
今日はグラウンドをひっくり返すくらいの整備だっていうから、みんなでプール行こうってことになったのに。
待ち合わせ場所に着いたら、慎吾さんしかいなかった。
「さあなあ‥」
一瞬振り返って軽く笑った。
あ、どうでもいいんだオレの気持ちなんて。
オレはむっとして、先輩より一歩前に出る。
「わかりましたよ。恥ずかしくてやだったんだけどオレも声かけますから。こんな夏の思い出ヤだもん!」
目の前をタンキニの女子が通り過ぎた。
あ、ソフト部っぽい。
「こ、こんにちはぁ!」
慌てて回り込んで勇気を振り絞る。よく日に焼けた女の子たちがすすっと身を寄せる。
「えっとぉ‥かわいいですね!」
向こうで軽く慎吾さんが吹き出した。
いいんだよ、いっぱいいっぱいなんだし。
女の子たちが耳打ちをしあう。オレ、スポーツ系の子好きなんだよなあ。体がきれいだから。色気とかじゃなくて、「使ってる」感じが見ててきもちいい。
「だめ?彼氏待ってる?」
「まさかっ」
「うちら女扱いされてないし」
笑った。
うん、いんじゃね?
「オレらも男だけだからボール遊びとかしない?」
あっちは、困ったように笑う。
―なんかガイ●ンじゃない?
―バリバリ日本語じゃん。カッコイイし
―でもアタマわるそう‥
聞こえる‥聞こえるよ‥でも我慢だ。
‥奥の手。
「運動部でしょ?オレら、野球部」
「え、うそだぁ」
女の子達が口に手をあてる。だいたいリアクションは同じだ。