LongTrip

□Sweetlabyrinth
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この心にある気持ちをなんて呼んだらいいんだろう? 

Sweetlabyrinth


観光客で賑わう休日の東京タワー。私は少し膨らんだ荷物とお菓子の甘い香りがほのかに香るバスケットを提げて、約束の15分前に待ち合わせ場所についた。もうすでに風がいて、約束の時間丁度に光が息を切らして走ってくる。そしていつもの様に三人で手を繋いで異世界へと旅立った。

この先の心の変化も知らないで。 


「待ちくたびれたよ。」

ふわりとその地に降り立つと悪戯に微笑みながらフェリオが私達を出迎えた。

「私、イーグルの所にいってくるね!」

光はセフィーロにつくとすぐイーグルのお見舞いに行く。そのかいも合って彼は最近起きて歩けるようになった。意志の世界はすばらしい。

「フェリオったらそんなに風に会いたかったの?」


ニヤリと笑いながらからかうと顔を真っ赤にして照れる二人。微笑ましくてついいつもからかってしまう。

「ウミ!来てたんだね!」

かけよってくる少年に私はにこりと微笑んだ。


「いつも悪いわねアスコット。お茶会の準備手伝ってもらっちゃって。」
「全然平気だよ!いつでもいってよ」

カタカタとポットが鳴り揺れるのを待ちながら準備をしていると急にアスコットが俯きながらこう言った。

「ウミって…あっちの世界で好きな人とかお付き合いしてる人いないんだよ…ね?」

顔を赤く染めながら俯く彼をきょとんと見上げる。


「いないわよ。でもいいなぁ。風と光。私も早く恋がしてみたいな…」

ドッターンとアスコットが盛大にこけ、地に沈んだ。

(…私そんなに変なこといったかしら?)


何やらうなだれるアスコットと一緒に広間へ甘い香りを運んでいった。


楽しく過ごしたお茶会も今では閑散としおひらきのムードを漂わせる。この後いつも一緒に過ごすプレセアやアスコットは仕事があると言っていた。

「光、風。待ってるんじゃない?早くいってあげなさいよ」
「でも、海ちゃんを一人にはでき「私は大丈夫だから。早くいってきなさーい!私が馬に蹴られちゃうでしょ!」

光の言葉を遮るように明るく私がそう言うと光と風は遠慮がちに立ち上がった。

「じゃぁいってくるね?今日久しぶりに三人で寝れるし、いっぱいお話ししようね?」
「私も三人で泊まれるこの週末を楽しみにしてまいりましたの。たくさんお話ししたいですわ。申し訳ありませんが…いってまいりますわね海さん。」


二人の後ろ姿を見送ると知らずのうちにふぅっとため息をついていた。二人に気を遣わせてすまないと重いながらも一人で冷めた紅茶をすすると色んな思いが浮かんで消えた。
 セフィーロで親友達に恋人が出来てから一人身の自分は一人でお茶を飲むことが多くなった。そうしているとどこからかプレセアやカルディナがやって来て、井戸端会議に花が咲くのだ。アスコットがどこかへ連れていってくれる時もある。 

「なんか暗いのって私らしくないわっ!大丈夫よっ一人っ子の私は自分に時間使うのなんて慣れてるんだからっ!」


自分に納得させるように口に出して言い聞かすと渇いた虚しさが心を支配した。

「やっぱり一人はつまんないな。」


幸せそうに笑う二人を思い浮べながら小さくぽつりと呟いた。
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