LongTrip
□Like or Love?
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この気持ちを言葉にするとどんな言葉があてはまる?
Like or Love?
あれから五日がすぎ、再び異世界へ一泊することになった。甘い香りに包まれた和やかな雰囲気の中、恒例のお茶会を楽しんでいた海に風が思い出したように切り出した。
「そういえば先日、海さんまた男性に告白されてませんでした?」
げほごほと勢い良く咳き込みながら呼吸を正す海に視線が集中した。
「なんで知ってるの!?」
「海さんが男性に呼び出されてるのをお見かけしましたの。」
同じ高校に通う三人はクラスこそ違うがいつも一緒だった。その中でひときわ目を引く美貌の持ち主である海は同じ年の男子から大学部の男性までよく呼び出されているのを光や風が知っているのは自然なことだった。
「海ちゃんいつも色んな男の人に呼び出されてるよね…で、返事したの?」
感心をしつつも興味津々な光に海は額に手をあて困ったように答えた。
「もちろん断ったわよ!」「海モテるやなぁ。でも断るなんてなんでな〜ん?ええ男やなかったん?勿体ないわ〜」
ちらっと隣にいる弟分を盗み見ると焦った顔のまま石化していた。
「話したこともない人とお付き合いなんてできるわけないでしょっ!」
顔を紅く染め早口でまくしたてると空になったポットを持ち席を後にした。
その晩、光と風が眠る寝室をそっと抜け出した海は窓から覗く星を見上げながら長い廊下を一人で歩いていた。
(今日はいるかわからないけど…いたら渡せばいいわよね?この前のお礼と口止め料を兼ねて!)
ガッツポーズを取り片手をぐっと握りしめると、もう一つの手に包まれた包みを見た。片手にすっぽりと収まるぐらいの小さな物。巾着状の袋の口を深い緑のりぼんで結んである。
薄暗い廊下を歩いていると、ふと目の前の角をぼんやりとした白いモノが横切った。
(何?!今の?)
十字路を思い切って曲がるとすでに白い物体はどこにも見当たらなかった。
背中をひやりとした汗が流れた。思わず息を呑み辺りを見回す。
「勘弁してよね〜…」
引きつった顔のまま進もうと足を前に踏み出した瞬間、後ろから肩を掴まれた。
「いやぁぁぁ〜!!」
叫び声とともに腕を力一杯ばたつかせ抵抗する。
「ウミ!!落ち着いてください!」
聞き覚えのある声に動きを止め顔を上げると困った様な申し訳なさそうな顔をしたイーグルが立っていた。
「イーグル…?本物…?」「はい。本物ですよ」
へなへなと力なくその場に座り込む。そしてキッとイーグルを睨むと瞳に涙をにじませたまま一気にまくしたてた。
「急に後ろから音も立てずに来たらびっくりするじゃない!!私本当に心臓止まるかと思っ〜!!」
興奮する私の口に人差し指をぴたりとあて困ったように苦笑した。
「皆さん起きてきちゃいますよ?」
はっと我に返り口を押さえ付ける私を見てくすくすと笑いながら歩きだした。