その他
□苦いコーヒー
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深夜、暗い部屋で、パソコンの画面を見ながら作業をする、いつもの事だ。
もう何日寝てねーか、まあどうでもいいがな。
研究してるのは、俺の勝手だ。
こうやって地下にこもってるのも、俺がそうしたいからだ。
団体行動なんてめんどくせーしな。
それでも、この小隊にいて、ポコペンに来て良かった、と思う事がある。
俺らしくもねーが、ここでこうしているのは楽しいからな。
隊長は、バカだがおもしれーし、オッサンはからかいがいがある、ガキは俺と同じで黒い部分があるから見てておもしれー。
まあ、623って言う、俺と気があうマブダチにも会えたしな。
それに……いや、これのほうが俺らしくねーか。
考えるのはやめとこう、あの女が見てるのは俺じゃねーんだから。
「クルルさーん、コーヒー持って来ました。」
こんな深夜に来るヤツは、アイツぐらいしかいねぇ。
「いつものところに置いときますね、っていうか用意周到。」
明るい笑顔を俺に向けながらそう言って俺の横にコーヒー置く。
いつもの事だ。
「ああ。」
こいつはこんなひねくれ者な俺にも微笑みかけてくる。
だから、苦手なんだ。
だから、好きになっちまったんだ。
初めて好きになった女が、コイツでよかったと思う。
コイツが俺じゃなくて、隊長が好きだってことは分かってる。
だからいいんだ、手にはいらねーから。
コイツは明るい、俺なんかには眩し過ぎるほど。
コイツはまるで太陽だ。
俺みてーなひねくれ者には、手に入らなくていいものなんだ。
「じゃあ、研究がんばってくださいね。」
そう言い、モアは去っていった。
また研究に戻る俺だったが、いつものブラックコーヒーが、いつもより苦く感じた。
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