その他

□記念撮影
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623のヤツが俺のラボに来てからそろそろ1時間は立っただろうか。

ったく、授業サボるのは別に構わねーけど、用事もなしにここに来んのはやめてもらいたいぜぇ〜。

暇つぶしならドロロ先輩んとこでも行って将棋でもなんでもしてりゃーいいのによ


まあ、俺は普段と変わらずPCをいじってるんだけどな。


普通のヤツなら、暇つぶしに来ている相手にでもお茶ぐらい出すんだろうが、俺はしねー。
こいつも俺がそういうヤツだって分かってるだろうからな。

だから、向こうから話しかけてでもこない限り、俺はいつものように自分の好きなことをするだけだ。

それに、アイツはアイツでマンガを2、3冊持ち来んで読んでいるみてーだしな。


623がページをめくる音と俺がキーボードを叩く音だけしか音のない部屋で、俺はPCに向かって作業をする。


静かな状況のおかげで、作業ははかどる……。

そして、一段落ついて、あらかじめレトルト加工しておいた俺様特製カレーを食べるために休憩をとることにした。


レトルトパックを温めようとイスから降りて、コンロの火を付ける。

「ねー、クルル〜。」

俺が作業を中断したのに気づいた623が話しかけてきた。
「なんだよ、623。」

そう俺が聞いてやると623は神妙な顔して俺に、

「俺とクルルが、今、この広い宇宙に浮かぶちっぽけな地球で一緒の時を過ごしてるのってありえないぐらいの奇跡だと思わない?」

と、言ってきた。

「そうかい?
俺には偶然とか奇跡とかじゃなくて必然だと思えるけどな。それに、そーいうのはお前じゃなくて日向冬樹が言いそうな事じゃねーか?」

俺は水をいれた鍋を温めながら623の質問に答えてやった。

「ははっ、確かに俺らしくもないかもね。
それにクルルがそう言うのも分かるよ。
でもやっぱ俺は奇跡だと思うよ♪」

623はそう言いながら実体化ペンで何かを描いている。

まあ、この話と関係あるんだろうが。
ていうかない訳がねーな。

「なんで奇跡なのか聞かせて貰おうじゃねーの。」


そう言い沸騰したお湯の中に、カレーのパックを投入する。
一応623の分も。
例え623が残しても俺なら食えるだろうしな。

「だってさ、そのほうがありがたみってのがあるだろ。
それに、サイコーに面白いヤツに出会えるのは滅多にないんだぜ?
だから、俺は必然って言葉で片付けて欲しくないな。」

623は笑顔でそう言ってきた。

確かにコイツほどおもしれーヤツには中々あえねーな。
そういう意味ではコイツの言う通りかもしれねーな。

「よし、できた。
クルル、こっち来てよ。」

「何だよ、俺はカレー温めてるんだけど?」

「いいからこっち来てよ、お願い。」

カレーが温まるまで後二分ぐらいか。
まあいいだろう。

「ったくしゃーねーな。」

「ありがと、クルル。」

そう言いながら623は、さっき実体化ペンで実体化させたものを見せてきた。

「どうかな、これ。」

それは、俺と623がはじめて会った時の俺と623の格好をしたフィギュアだった。

「イカすじゃねーの。
ただ、俺様はもう少しカッコイいがな。で、これがどーしたよ?」

そう聞いてやると623は得意気な顔をした。

「クルル、今日はさ、俺たちが会った奇跡の日なんだよ。
だからさ、このフィギュア持って記念撮影しようよ。」

そういや、もう一年も経ったのか、コイツと会ってから。

「だからって、フィギュアかよ。」

「いいじゃん、一年前の俺たちって事でさ。」

「まあ、別にいいけどよ。」

「じゃ撮るよ?
カメラもあるし。」

そう言ってカメラを取り出す623。

「ちょっと待ちな!」

「え!?」

「カレー食いながらも撮ろうぜぇ〜。」

「さすがはカレー好き……。」

「当たり前だろ?」

「ははっ、そうだね、クルルらしい。」

この後、フィギュアを持った写真やカレーを食いながらの写真などを撮った俺たちだった。


まあ、俺一人だけや623だけってのもこの機会に撮ったけどな。

623だけのヤツはいつか日向夏美にでも高値で売るのもいいな。



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