その他

□ボクとマキ
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う〜ん、青空がきれいだなぁ……。
ぽっかりと浮かぶ白い雲はシュークリームの形に見えておいしそう……。

やっぱり、屋上で昼寝はいいなぁ、うん。

かなり気持ちいいもん。

あー、この時間が長く続けばいいのに。
でも、5時間目は後20分もすれば始まるんだよなぁ……。
やだな〜。
ま、いっか、少しでも寝よっと。

「あ〜、やっぱり屋上にいた!!」

いきなり、この静かな屋上に大きな声がして驚いた。

目は閉じたままにしておく。

でも、誰だかは分かる、幼馴染のマキだ。

「ツバサぁ!!
屋上は立ち入り禁止だからいくら気持ちいいからってもうやめろって昨日も言ったよね?」

寝たふり、寝たふり。

ボクは聞いてませんよー。
だから、諦めて教室に戻ってねー。

「寝てる?」

よし、今回のたぬき寝入り作戦は成功かも……。

「寝てるんだよね?」

顔が近づいてくるのが気配で分かる……。
あっ!?
まさか、キンニクマンみたいに額に肉って書く気じゃないよね、マキ。
もし、そうなったらどーしよう。
あわわ、作戦中断しようかなぁ。
いや、でもインクの匂いはしないし……。

「ごめん!」

んん!!
え、ボクの唇に今やわらかいものが……。
ま、まさかキス!?

「なっ、何!?」

もうボクはパニック状態だ。
顔も真っ赤だろう、絶対。

「え、ツバサ起きてた!?」

そう聞いてくるマキの顔も真っ赤。

と言うことは……。

「マ、ママ、マキ!」

動揺して口がうまく動かない……。

「マキって名字で呼ばないでって言ってるでしょ。
昔みたいに彰って呼んでよ。」

「そ、そうじゃなくて!!
さ、さっき、キ…キス……。」

「ごめん、した。」

謝ってすまないよっ!

だって、だって、だって!!!!

女の子のファーストキスなんだよ?
もっと、記憶に残るようなロマンチックな状況でするもんなんだよ!

「ツバサの事、昔から好きでさ……。
そんなツバサが目の前で可愛く寝てたから、その理性が働かなくて。
ホント、ごめん!!」

「変態、えっち、スケベ、ヘタレ!」

それでも、我慢するのがかっこいいんだよぉ。
告白もこんな感じじゃなくてさ。


「うぐっ!
本当にごめん。
何でもツバサの言う事聞くから許して……。」

やっちゃったものは仕方ない……。
まあ、マキの事はボクも好きだし、その条件で許してあげるか。
でも、ボクも好きだという事は秘密にしておくけどね、まだ。

「じゃあ、それでいいよ。
で、さっそく命令です。」

「な、何!?」

ふふっ、怯えてるマキおもしろーい。
安心しなよ、この宮村ツバサ様はそこまで鬼じゃないからさ〜。
でも、ファーストキスをいきなり奪ったんだから、それ相応の命令だけどね?

「明後日の土曜日、デートしよ?
全部、マキのおごりでね?
それと、ボクはと〜ぶんマキぅて呼ぶから。
拒否権はないからね、もちろん。」

「……ぅ、うん。」

「さてと、明後日何勝って貰うか考えなきゃな〜。」

ふふっ、楽しみだなぁ。
あ、でも、デートって事は罰にしては甘いかな?
まあ、いいかぁ〜。

「じゃあ、もう一眠りしよっと。」

「いや、だから、屋上は……。」

マキが何か言ってるけどむーしだ。
5時間目はサボる事に決めたし。

終わり


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