その他

□黒と白
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「髪型は同じでも中身は全然違うよね……。」

ふと、マーモンは呟いた。

目の前にいるクロームは目を丸くする。

そんなクロームの様子を見ながらやっぱり違うと思いつつ、マーモンは黒い石をボードに置いた。

「あ……。」

白が黒に変わる。
クロームが声をもらした。
マーモンが優勢だからだろう。


「私と骸様の事?」

白い石を置き、黒を白に変えたクロームが尋ねる。

「そうだよ。
骸なら、こんな風にはいかないだろうからね。
それに骸は憎たらしいけどキミは愛らしいよ。」

骸に対しては嫌悪感をあらわしつつ、クロームには賞賛の言葉をあげるマーモン。

「……ふふっ。」

「何がおかしいのさ。」

突然笑いだした目の前の相手をマーモンは訝しげに見つめる。

「だってマーモンが私を可愛いって言うなんて初めてだったもの……。」

黒い石を置く手がピタッと止まる。

「ムムッ、ボクとした事が……。
お金にもならないのに人の容姿を誉めるなんて。」

「……私は嬉しかったよ?
それじゃ……ダメ?」

クロームは小首を傾げてマーモンに尋ねる。
その姿は誰が見ても可愛いらしい。

「フン、まあいいよ。」


そう言うとマーモンはそっぽを向いた。
そして、マーモンはクロームと目を合わせないようにしなければ、と思った。

このままだと更に自分のペースを崩されてしまうから。

これ以上はマーモン自身のプライドが許せないのだ。
今でも彼女のペースにのみこまれそうだから。

「……どうしたの?
手止まってるよ?」

クロームは微笑みながらマーモンに問いかける。

「ちょっとね、考えてたんだよ。
どうすればより効果的に白を黒に変えれるかをさ。」

そう言いながら、黒い面が上になった石をマーモンは置く。

「でも気付いてないみたいね……。」

クロームが嬉しそうに呟く。

「ムッ、何がさ。」

マーモンがクロームの発言に疑問の声をあげる。

そして、彼女のペースに飲み込まれないように警戒しつつ目を彼女の方に少し向けた。

「だって四隅の一つに置けるようになったもの。」

でしょう?とでも言いたげな笑みを浮かべてクロームは目の前のマーモンを見た。

「……キミはキミで侮れないね、クローム。」

マーモンはそう言うと、これからどうやって体制をたて直そうか考えるため、集中しようとするのだった。




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