秘密の部屋

□全ては暑さのせい
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とにかく暑かった。
地球温暖化にも程があるだろ、こんちきしょー地球もっとがんばれよ、暑すぎなんだよとか、土方コノヤローが今もまだ生きているからこんなに暑いんだとか思うぐらいに暑かった。

こんな日は、いつもの土方との巡回をサボって公園で暇を潰すという、普段ならそれなりに楽しめる行動もまったく効果がなかった。

それほどまでに暑かった。


そこらの自販機で買ったファンタをこの木陰のベンチまで持ってきて一気に飲み干す。

このベンチは夏の公園でのサボリの特等席になっている。

木陰にあるおかげで幾分かは涼しいからが理由だが、今日はまったく木陰の恩恵を受けている気がしない。

これじゃあ、何のためのサボリなんだか。

そう思い、冷房がガンガンにきいた喫茶店にでも行こうと立ち上がった。

その時、上から声がした。

「ここで何やってるアルか、税金ドロボー。」

上を向く……なんて事はしない。
声だけで誰かわかるから。

「お前こそなんでぃ。
木に登って。」

いつもは旦那達と一緒にいるか、そこらへんで遊んでるのによ。

「木の上の方が涼しいアル。
だから、この太い枝を使って涼むんだヨ。」


そう言うと、チャイナは枝の先の方へ足をのばし背中を幹に預ける。

「気をつけな、重すぎて枝が折れねーようになァ。」

そうチャイナに言えば、チャイナは何かしら言い返してくることは目に見えていた。
しかし気にしない、いつもの事だし。

「レディに重いとか言うなアル!」

案の定、チャイナは言い返してきた。
そこまではよかった。

言い返す時に体を捻ってこちらへ向いたチャイナは、バランスを崩し、木から落ちて来たからだ。


ドサッ……その音が酷く遠く聞こえた。

「オ、オイ、大丈夫か!?」


慌ててチャイナへと駆け寄るが反応がない。

とりあえず横になっているチャイナの肩を抱き、先ほどまで自分が座っていたベンチに寝かせる。

ちゃんと落ちる時に、受け身を取っていたのを見たが、念のため頭に怪我がないか見る。
見たところだがチャイナの頭に怪我はない。

呼吸も安定している、ただの気絶だ、きっと。

そこまで確認してようやく安心した。


このままこいつを放っとく事もできないので起きるまで待ってやろうとこの暑い中、突っ立っていた。

だが、しばらくしてもチャイナは目を覚まそうとしない。


少し不安に思ったが、それよりも頭に一瞬よぎった考えが気になった。

規則的に呼吸をするチャイナの口を見て思った考えが。


キスしたい、なんて普段なら考えつかない事が気になった。


全てはこのうだるような暑さが悪いんだ。
じゃなきゃ、こんな考え浮かぶはずがない。


暑いから頭がどうにかしたんだ。



そう思い、俺は……唇をチャイナに近づけた……。







その後どうなったかは誰にも秘密だ。




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