コードギアス
□プリン賛歌
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「キミってさ〜、なんでこのキャメロットに参加したの?」
唐突にそう言われた。
言い放ったのは私の上司だ。
この人がいつも何を考えているのか、私には分からない。
まあ、ほとんどがランスロットの事なんだろうけど。
「何故、そんなことが気になるんですか?」
理由が分からなければ答えようがない。
いくら私がこの人と付き合いが長いからといっても。
そういえばこの人とは大学の研究室からこんな関係だった。
もう何年もこんな関係なんだ、もう何年も……。
「だって、キミにはいつも庶務全般を任せっきりだからねぇ。
それに聞いたよ〜、アッシュフォード学園の学園祭でモグラたたきをしてた時、
僕似の生徒を集中的に攻撃してたって。
そんなキミがなんで今もこんな僕に付き合ってくれてるのかなって思ってね。」
『付き合ってる』その言葉に不覚にも少し反応してしまった。
この人が言うのには少しもそういう意味がないのは分かってるつもりだったのに。
それに婚約を解消したと知った時、喜んでいた自分にも腹がたつ。
バカみたいだと。
期待したところでこの人が私の想いに気づくことはないのだから。
「別に。好きですからこの仕事。」
「ホントに〜?
それだけが理由なの〜?」
この人はなんでこういう時に限って鋭いのだろうか?
確かに私がキャメロットに参加したのはそれだけじゃない。
でも、この人にそれを言ったところで何の意味もないだろう。
この人には異性という概念は知っていても、感覚はないのだから。
報われないな、私。
恋愛ドラマの主人公だったら実は…みたいな事もあるだろうに。
この人に限ってはそれは絶対にないだろう。
「まあ、いいや。
セシルくん、結婚しよう。」
今、私の目の前でパソコンを操作している男はなんと言った?
『結婚しよう』と言ったように聞こえた。
気のせいか?
「今、なんて言いました?
ロイドさん。」
私の手は震えている。
急に緊張してきた。
「結婚しようって言ったんだけど?
婚約も解消されちゃったしね〜、僕。」
振り返ってそう言うロイドさんの顔はいつになく真剣だった。
でもなにか納得がいかない。
「冗談ですか?
ロイドさん。」
嬉しくても、唐突すぎてリアリティに欠けていれば誰だってこう言うだろう。
「あはww、残念でしたぁ。
冗談じゃないよ、本気だよ僕は。」
その一言を聞いた時、私の心は幸福感でいっぱいだった。
なのに…。
「セシルくん、こんなところで寝てるとまたミス・ローマイヤーに怒られるよ。」
夢だったなんて……。
夢落ち