秘密の部屋
□黒い夢
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壊れてやがる……。
デスサイズは、目の前に広がっている光景に対しそう思った。
黒い夢
静かだった。
いや、デスサイズにとっては、静か過ぎた。
彼は、目の前にいる者がかつてのパートナーだとは思いたくなかった。
血にまみれたシュタインと、よこたわるマリーの亡き骸を見ても。
血でべっとりとした手を見ていたシュタインが、デスサイズのいる方に目を向けた。
狂気の笑みを浮かべながら。
「ヘラヘラ、先輩も一緒に狂いませんか?
楽しいですよ、すべてがどうでもよくなって。」
そう言うシュタインの顔を見たデスサイズは、メデューサを一度倒した後にシュタインが見せた顔を思い出した。
デスサイズは、あの時からこいつは狂いはじめていたのか、と思った。
そして、後悔した。
BJを殺したのはシュタインではないと彼は確信していた。
だから彼は、マリーをシュタインと一緒に連れて行かせた。
マリーがシュタインの狂気の拡大をとめてくれる、と彼は思ったからだった。
しかし、マリーでも無理だったんだ、シュタインが狂うのをとめるのは、と彼は横たわるマリーの亡き骸を見ながら思った。
片腕を鎌にして、彼はシュタインに正面から向き合った。
「なんで、なんで、マリーを殺したんだ、シュタインっ!!」
その言葉には、こうなるかもしれないと分かっていながら、とめられなかった彼自身に対する苛立ちも含まれていた。
「楽しいから、ヘラヘラ。」
シュタインのその言葉に彼が怒りの叫びを言おうとした時だった。
全身に軽い衝撃をくらったのは。
彼は、彼の元・奥さんも娘も今はもういない、彼の家のベッドから落ちたようだ。
もうこんな嫌な夢は見たくない、そう思いながら彼はまた眠るのだった。
夢落ち
後書きはなし