love

□穏やかな日に
1ページ/4ページ

 その日、アスランが目覚めると、イザークがベッドに座り、覆い被さるように両手をアスランの顔の脇について彼を見下ろしていた。
「目が覚めたか? おはよう、アスラン」
 アスランの覚醒に気付いたイザークは、ふわりと微笑んだ。
「おはよ……イザーク」
 ぼんやりと、何が起きているのかを理解しようとするアスランの意識も、ゆっくりと浮上してくる。
「まだ寝ていても大丈夫だぞ」
「いや……起きるよ」
 そう言うと、イザークはアスランの手を引き、起き上がるのを手伝ってくれる。
 窓の外を見ると、もう太陽が高くまで上っていて、ちょうど運ばれてきた朝食は、ブランチとなる時間帯だということに気付いた。
「あれ……、イザーク、仕事は?」
「今日は休みを取った」
 ぼんやりとしたアスランの問いかけに、イザークは、ふっと笑って答える。
 確かに休暇でないと、イザークがこの時間に家にいるのはおかしい。
 イザークもまだだったという食事を2人でゆっくり摂り、午後は思い思いの時間を過ごす。
 イザークはソファに座り、久しぶりに落ち着いて読書を始め、アスランはそんなイザークの膝を借りて横になり、うとうとしながらいろいろなことを思い出していた。
 終戦後のこと。
 二回目の戦争の開戦のきっかけになった、ユニウスセブンの落下。あれは、ザラ派が仕組んだことだった。それが露呈して、『ザラ』の名を持つアスランは危険因子として裁判にかけられた。
 死刑は、覚悟していた。
 父がしたことも、父の言葉に踊らされた人がしたことも、許されることじゃない。 『ザラ』の名は危険だ、と。アスランさえもが思っていたのに。
 イザークは、違ったのだ。
 パトリックのしたこととアスランは関係無いと言い放ち、アスランを死刑にも幽閉にもさせない代わりに、ジュール家が責任を持って彼を軟禁し監視すると言った。
 自らそんな面倒事を背負い込むなんて、イザークくらいだ。
 もっとも、イザークとアスランが恋人同士だと知れれば、そんなことは許されなかったのだろうが。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ