小説

□かけがえのない時間
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「あの、エザリア様…そろそろ」

だがしかし、このクッキーを食べる為だけに俺はジュール邸に訪れた訳ではない。いい加減本題を、と弱々しく話を切り出すとエザリア様は「そうだったわね」と言うと手をパンパンと叩いて音を鳴らした。その音に部屋の外に控えていた執事達がぞろぞろと入ってくる

彼らの手には分厚いアルバム


「…………一体何冊あるのですか…?」

「20冊ぐらいだったかしら?でもね、パソコンにもデータは入っているのよ。それも見せてあげるわ!」

「あ、有り難う…御座います」

俺はイザークの幼少時代を知りたくて、エザリア様に彼のアルバムを見せて欲しいと頼んだ。その為に今日と言う日にわざわざジュール邸に来たのだが、まさかこんなにあるとは…。確かにエザリア様はイザークを溺愛し、イザークもマザコンでは無いかと思う程、エザリア様に尽くしている。このアルバムの数はその成果であろうと密かにアスランは笑った

一人の執事から手渡されたアルバムは、ずしりと重かった。前に座っているエザリア様も一冊のアルバムを手に取って捲っている

俺もドキドキしながら金色の縁を輝かせる表紙を開いた
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