小説
□にゃん
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俺は非常に困っている
この頃、あのアスランが…心から愛しているあのアスランがこの俺を憎しみの籠もった眼差しを向けているのだ。そしてその原因を作っている奴が今、俺の膝の上に寝ている。時折小さな物音にピクピクと耳を動かし、ふあぁ…と欠伸する
レイン…少しは空気を読んでくれないか(猫に空気は読めないが)
「出掛けてくる」
帽子を深く被ったアスランは俺に見向きもせずに玄関へ向かった。いつの間にか外出用に服を着替えている
「こんな午前中から何処へ行くんだ」
まだ九時過ぎ。こんな早くから何処へ行くのだろうか。しかしそんな心配を余所にアスランから返ってきた言葉は昨日食べたかき氷(アスランはグレープ味、俺はレモン味)よりも冷たかった
「イザークには関係ない」
バタンと閉まった扉の音。アスランの後を追い掛けたいのだが、膝の上に堂々と寝ているレインが居る為動けない
いや、動けた。だが、またアスランから拒絶されたら…と言う考えが怖くて奴の後を追えなかったのだ
「……情けない」
深く細くため息を吐き出す。アスランの後を追えない俺、アスランの拒絶が怖い俺は、レインの所為にしようとした。本当に情けない