小説

□たった一人の君
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冷たいソファーにポスンと身体を倒し、四肢を縮めて丸くなる

この頃、そんな考えばかりしてしまう。一度だけその事をイザーク本人に言った時は怒らせてしまった。だからもう言わないようにしている
“ザラ”の名が落ちてしまった今、結婚の話はもうどうでも良いし、そんな話なんて上がって来ない。だが“ジュール”は、そんな訳にはいかない。しかも今でもお見合いの話は来ているらしいとディアッカから聞いた。ディアッカからは「お前は凄い奴から惚れられた」と冷やかしてきたが

自分の体温で、じんわりとソファーにも温もりが出てきた。とりあえず、自分が置かれている状況を考え直さないといけないな…と眠りにつこうとした時


「……おい」

不機嫌そうな声が上から降ってきた。深く考えていたせいか、全く気配を感じなかった。いや、わざと彼が気配を消していたのかもしれない

「何を勝手にそんな所で寝る。俺が寒いだろうが」

俺が目を開けたと同時に、浮遊感が襲う

「な……、おい!?」

「貴様ぐらい抱えられないと、軍なんてやっていけないからな」

「そういう事じゃなくて」

布越しから伝わる、ヒトの温もり

「そういうことじゃ…ないんだ」
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