小説
□たった一人の君
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いつから俺はこんなに弱くなってしまったのだろうか
孤独なんて小さい頃から慣れている筈なのに。父や母が居なくても一人で平気だった筈なのに
平気だった?
隣近所から聞こえる賑やかな家族の声。暖かみを醸し出す部屋のライト
慣れていた…?
学校の行事で父や母が来ていたクラスメートの照れた顔。それを見守る親達
広い家では一部屋しか使わなかった。執事達を呼べば直ぐに来てくれるけど、用事が終わると部屋の外で待機する。広い部屋の中、一人で黙々と食事して。会話等無かった。学業では良い成績を修めれば、直ぐに誉めてくれるのは先生で
母が亡くなって、父も亡くなって
屋敷は無くなり、雇っていた執事達は解雇して
――平気だった?慣れていた?
一人は大丈夫だって強がって
誰にも文句や我が儘を言わないで
一人でも大丈夫だよと笑って
誰にも迷惑なんてかけないで
そんなの無理だよ
だって、だって…
「…寂しいだろ」
イザークがポツリと呟いた
呟かれた言葉に鼓動が激しくなる
「せっかく二人で寝ていたのに、勝手に抜け出すな」
「寂しい…のか?」
「聞き返すな馬鹿」
いつの間にか寝室に着いていて、再び暖かいベッドの中へ戻された