小説

□たった一人の君
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近くにある体温に擦り寄ってアスランはふと目が覚めた。ぼやける視界の先にはシルクの水色のシャツ。それを寝間着として愛用しているイザークは、すやすやと小さく寝息を立てていた

その胸元に収まっていたアスランは彼を起こさないようにゆっくりとベッドから抜け出す
時間はまだ3時過ぎ
イザークは明日は休みだと言っていた。だから明日は買い物して、たまにはチェスでもやろうと言っていた。彼の貴重な休みを共に過ごせるというのは、とても嬉しい。そして何よりも自分を優先し大事にしてくれている。けれど

アスランは部屋を静かに出るとリビングにあるソファーへと座った。さっきまでの温もりが嘘のように冷えていく

イザークは優しい
行く当ての無い俺は彼の家にお世話になっている。イザークからすれば“俺がお前の側に、一緒に居たいから”と云う事らしいが、本当にそれで良いのかと思っている自分がいる。第一、彼には未来があるのだ。もしかしたら、彼と結ばれる筈の人の居場所を俺が邪魔しているのではないのだろうか。そうなると彼だけで無く、その女性や、エザリア様までにも迷惑をかけていると云う事になる
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