小説
□幸せは感染します
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朦朧とする意識の中で何度も名を呼ばれ、それに応えるように、うっすらと瞳を開ける。ぼんやりと映る視界には、女性が困った風に微笑んでいた
「ははうえ…?」
すんなりと出たその言葉に何故か自分自身が酷く驚いた。何に対して驚いたのか分からない事に不快に感じるが、母上が何時も以上にニコニコしているので不快感はすぐに消えた
「アスラン、何時まで寝てるつもりなの?」
もうお昼よ、と母上は部屋のカーテンを開ける。眩しい程強い陽射しが部屋いっぱいに広がって思わず顔をしかめた
「さ、お昼ご飯にしましょう?父上も待ってるのよ」
“父上”と言う言葉にぼんやりとしていた頭がスッとクリアになる。母上は「早くいらっしゃいね」と部屋を出ていく。俺は父上を待たせてはいけないと慌てて服を着替えだした