小説
□幸せは感染します
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「……は?」
カチリ、と食器にフォークとナイフを置いた父上が真っ直ぐに俺を見つめる
「周りが何と言おうと、気にするな」
「…何のお話ですか?」
「私はお前の父であって良かったと思う。最もお前とは会話が少な過ぎたが…」
「父…上、何を…」
「せめて、幸せにな」
父上と母上は優しく微笑む
「いいえアナタ。もうアスランは幸せ者ですよ。この子を大事に思ってくれる人が居るのだから…」
母上は「ね?」と笑い、俺は何故か急に目頭が熱くなった。今ここで泣いてはいけない。そう思うのに二人の姿がゆっくりと歪んでいく。まだ俺は二人に伝えたい事があった筈だ。昔から言えなかった言葉が
「俺も…」
「アスラン…」
「あなた達の息子でッ」
『…アスラン』
父と母の声が重なる