小説
□与えてくれたモノ
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「欲しい物ないのか!?」
「…あぁ別に」
気まずそうに俺は視線をそらし、指先でストローを弄ぶ
ずぞぞ、と、らしくもなく音を立ててイザークは己のアイスコーヒーを飲み干すと、これまたらしくもなく、ため息をつく
するとほのかにコーヒーの香が鼻孔をくすぐった
「本当か?」
「うん…」
カラカラと氷を回す
「俺は前もって言っただろう。誕生日までに決めておけと…なのに」
再びコーヒーの香がした
「今決めなきゃいけないのか?」
「当たり前だっ!!せっかくの誕生日だぞ!!」
今度は俺がため息をつく番だった
「イザークがくれる物なら何でも嬉しいよ」
「…アスラン」
にっこりと見つめるとイザークの眉間の皺が消えて微笑み返してくれたのもつかの間
再び眉間に新たな皺が出来る
「そうやって話をそらすんじゃない」
「バレた?」