小説
□獅子の分け前
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目の前には、言葉で言い表せない光景が…
まぁ、狩りをしてきたのだから当たり前の光景なのですがこれはまた一段と酷い
「今日はなかなか大量だな」
「腹減ったぁ」
グテンと木々に囲まれた広場で大の字になるディアッカを横目にアスランは溜め息をついた
「どうした、食欲がないのか」
百獣の王、イザークは肉食
しかしロバであるアスランは草食
ここは食欲という問題ではないのだ
「まぁ皆で捕った獲物だ。どうだアスラン、分けてくれるか?」
これを、と生々しい物体に目をやるイザークは、そういうのが苦手なアスランにわざわざ頼む
そういうような嫌がらせを好む彼はニヤニヤと相手の顔色を伺う
「…分かった」
しかし長年付き添ってきた相手
イザークが意地悪なのは百も承知なアスランの心の中で意地を張り、その役を買って出た
手を震わせながら均等に分けていく
ここで真面目な性格が現れて、ひとかけらもキチンと分けてしまう
手が真っ赤に染まろうが慎重に作業に取りかかっているアスランをディアッカとイザークは面白そうに見ている