小説
□バレンタイン
2ページ/4ページ
しかし、
「恥ずかしいだろうがっ」
遠足を楽しみにする餓鬼じゃあるまいし…とイザークは自分のベッドへ座り込んだ
「じゃあ、いらないんだ?」
「…欲しい」
せっかく、愛のキューピットになっているのに扱いにくいわね〜と笑いながら言えば右ストレートが飛んできた
その頃アスランは
「ありがとうニコル」
「いえ、頑張って下さい」
ニコルから頼んでいた品物を受け取る
明日に控えた大事なイベント
アスランは意気込んで食堂へ足を運ぶ
カサカサと袋の中には板チョコが5枚とトッピングでアーモンドやら何やらが入っている
左手には“初心者向けのお菓子の作り方”という本を開いて歩く
これはもう端から見れば主婦だ
すれ違う他の隊員の口は開きっぱなし
「…と、アスラン?」
目線を本からそらし、声のする方を見るとそこにはミゲルが
「なんだ、バレンタインか?」
「あぁ、これ?イザークがね」
欲しそうだから作るんだ…と微笑みながら言うアスランにクラリときたが耐える
ここで耐えなきゃ後から凄まじい怨念が襲ってくる
先輩という威厳が消えつつあるミゲル
「余ったら俺にも分けてくれな」
ポンと頭を撫で、これぐらいなら大丈夫だろと格納庫へ向かう
分かったと、後ろから聞こえた声にミゲルの頬が緩んだ