小説

□バレンタイン
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しかし、

「恥ずかしいだろうがっ」

遠足を楽しみにする餓鬼じゃあるまいし…とイザークは自分のベッドへ座り込んだ

「じゃあ、いらないんだ?」

「…欲しい」

せっかく、愛のキューピットになっているのに扱いにくいわね〜と笑いながら言えば右ストレートが飛んできた


















その頃アスランは



「ありがとうニコル」

「いえ、頑張って下さい」

ニコルから頼んでいた品物を受け取る
明日に控えた大事なイベント
アスランは意気込んで食堂へ足を運ぶ
カサカサと袋の中には板チョコが5枚とトッピングでアーモンドやら何やらが入っている
左手には“初心者向けのお菓子の作り方”という本を開いて歩く


これはもう端から見れば主婦だ


すれ違う他の隊員の口は開きっぱなし



「…と、アスラン?」



目線を本からそらし、声のする方を見るとそこにはミゲルが

「なんだ、バレンタインか?」

「あぁ、これ?イザークがね」

欲しそうだから作るんだ…と微笑みながら言うアスランにクラリときたが耐える
ここで耐えなきゃ後から凄まじい怨念が襲ってくる
先輩という威厳が消えつつあるミゲル

「余ったら俺にも分けてくれな」

ポンと頭を撫で、これぐらいなら大丈夫だろと格納庫へ向かう

分かったと、後ろから聞こえた声にミゲルの頬が緩んだ
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