小説
□小悪魔な奥様
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ザクッと皮膚を通して脳内に響いた
「っ…」
洗いものの中に包丁があるのを忘れていて、つい掌に切り傷を作ってしまった
しかしその傷一つならまだしも、両手を広げれば指先を中心に幾多の小さな切り傷がある
器用だと言われる事が多いアスランも、料理になればまた別問題で
「どうしよう」
とりあえず滲みる痛みに顔をしかめながらも洗いものを済ませると、そそくさに絆創膏を貼りにかかる
「…どうしよう」
しかしまた悩みが一つ増える
ちょっと酷い傷口にだけ貼ったのはいいものの、その枚数が両手合わせて五枚
明らかに、怪我をしました…と言っているようなもの
これをイザークが見たらカンカンに怒ること間違いない
何故か理由がどうであれアスランの肌に傷を付けるのを嫌がるイザーク
人に自分の身体を心配されるほど怪我……はしたことあるが、今は全くそういうことが無くなった
ヒラヒラと手を振る
やはり絆創膏の多さに目を引く
バレないように何とかしなきゃ…とアスランは自室に向かった