小説

□小悪魔な奥様
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「ただいま」

「おかえり」

いつも決まった台詞なのに、嬉しいものだなと頬を緩ませ愛しい恋人を抱き寄せる



おずおずと背中に回される手

が、服を隔てても分かる違和感

「…ん?」

小さく唸れば抱いていた肩がピクリと震える


「…ど、した?」


明らかに動揺しているアスランの両肩を力一杯押せば、背中に回されていた腕もスルリと抜けて









「……なんだ、それは」









アスランの両手には季節外れの手袋
それも冬用のモコモコしたやつ



「ほら、今さっき雨降ってただろ?ちょっと寒いかなぁ…ってさ。この季節は少し寒くなったりするしさ、風邪引いたら馬鹿みたいだろ」



よぉし…アスランは心の中でガッツポーズをする



この自然な会話は大丈夫、怪しまれないと見たらしいのだが、肝心のイザークには完璧に見切られていた

「…の割には汗かいてるぞ」

「う゛…」

指摘されれば冷や汗もプラスされるわけで
余計に不審気に思われるアスラン

「あの、ご飯食べるだろ?ほら中に…」

「先に風呂だ。アスラン入って無いだろう?一緒にどうだ。と言うか、俺は疲れた。背中を流せ」

いいな?と有無を言わせずに、さっさと風呂場へ向かったイザーク
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