小説
□ある日の甘い瞬間
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久しぶりにアスランに会えた
気持ちはお互いに一緒のようで、どちらともなく頬が緩んだ
「適当に座ってて」
そう言うとアスランは小走りにキッチンへと向かった
そして俺は言われた通りに適当にソファーに座る
全体重を支えてくれるそれに小さなため息をついた
本当に久しぶりだな…
ぼんやりと天井を見上げれば、微かに何かが匂ってきた
甘い…?
次第にその匂いは強くなり、気が付いたらアスランがその源を運んで来た所だった
「はい」
カチャリとテーブルに置かれた物は紅茶
「…甘いのかソレ」
「…さぁ」
匂いからして甘いなら味もきっと甘いはず
しかし煎れた本人さえ味が分からないものを普通お客に出すのか
まぁ俺はただのお客では無いが
とりあえず飲んでみるしかない
「……」
「…不味かった?」
不安そうな表情に素直な感想も言えるはずなく
「…案外いける」
嘘をついた
飲めば匂いは強く、元々甘いのが苦手な俺にとって外道である飲み物
というかコレは紅茶では無い
「うん、美味しい!!」
俺の言葉に安心したのかアスランも飲み出した