小説

□ある日の甘い瞬間
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しかし、いつもならコーヒーを出すのに…と俺はトイレを借りると言ってその場を離れた

なのに何故紅茶なのか
豆がきれていたのか?
トイレを借りるフリをしてこっそりキッチンに忍び込む



テーブルの上に放置されたままのピンク色の袋
パッケージには桃の写真が載ってある



「…ピーチ、ティー?」






そういえば

いつか忘れたが二人で買い物に出掛けた時にたまたまアスランが見つけたもの


『イザーク!!見てほら!!ピーチティーだって!!』

あのアスランが珍しく騒いでいた
紅茶如きで

『だからどうした』

『美味しそうだと思わないか?俺でもコレなら紅茶が飲めそうな気がする』

『じゃあ買ってやるよ』

『いいよ、自分で買う!!』


そして帰宅した後


『さっき買ったやつ飲まないのか?』

こそこそと買ったピーチティーの袋を食器棚の奥にしまうのを見て呟いた

『勿体無いから大事に保管しとく』

返ってきた返事に笑う

『ははっ…飲まなきゃ意味無いだろ』

『…大事な日にでも飲むさ』

『果たして大事な日とやらは来るのか?』

『うるさいな』


まさかあの時の紅茶なのか
断片的にしか記憶に無いが、あのピンクのヤツは確かにあの時のもの



「っわぁ!!」



いきなりの音に驚き、その方へ目線をやればアスランがびっくりして俺を見ていた

「どっ、どうして…」

トイレは?…と疑問の目を向けられる
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