小説
□魔法をかけて
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ギロリ、と本当に音がしそうな程イザーク・ジュールが見つめているもの
それは斜め前に座っている同期で、アカデミーをトップで卒業したアスラン・ザラである
そしてそれを隣で見ているディアッカはヒヤヒヤしていた
と言うかマジで冷や汗まで浮かべている
ディアッカが何故こんなにも心配しているのか
それは昨日の事である
夜、ナンパに失敗したディアッカは自室へと足を運んでいた
同室であるイザークには『帰らないから』などと決めてきたのだが、ノコノコと現れると馬鹿にされるのが目に見えていた
だが、他に寄る所も無くて結局は自室しか道が無く
「朝は良かったのになぁ」
朝声かけた女の顔を頭に浮かべる
しかし今さっき訪ねた時の表情と言ったら…
ダルそうに息を吐き出す
ただ普通に帰るのは面白くない
大体馬鹿にされるし
ならば
懐に入れていた(倉庫から盗った)拳銃を取り出す
勿論危ないから安全装置は外さない
自室まであと少し
同室の奴の驚いた顔を想像しニヤリと笑うと、部屋のパスワードを静かに打ち込んでいく
シュン…と小さな音と共に開くドアに、瞬時に銃口を部屋の中へ向け声を張り上げる
「動くなっ!!…………へ?」
きっちりと拳銃を構えた先にいるのは同室のイザーク
全身真っ黒の姿で