小説

□弱いところ
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「ギヤャアァッ―――!!」









早朝、男が叫んだ
アスランはその瞬間目を覚まし、慌てて悲鳴が上がった場所へと走った所にはうずくまるようにして小さくなっているイザークがいた
駆け寄り、そっと肩を抱き寄せる
サラッと落ちる銀髪の隙間から覗く横顔は脂汗が滲んでいた

「ど…どうしたんだ!!」

ザフトの中でトップクラスである隊の隊長を務めているイザーク
それにヤキンドゥーエを生き抜いたクルーゼ隊のレッドだった
そんな彼が酷く苦しんでいる

彼をこんな風にしたのは何か
まさか罠やテロかそれとも他の何かが!?

「イザーク…!!」

本人は何も言わず、ただただ呻いて
アスランは焦った

「…ぁ…アスラ、ン…」

ギュッと頭を抱いていると、ようやくイザークが口を開いた
だが、弱々しい

「誰にやられたんだ!!」

目尻にうっすら涙を溜め、懸命にイザークを見つめる
俺だってザフトレッドだった
今だって充分戦力になるはずだ
仇をとってやる

意気込みながらイザークの言葉を待った

「小指…」

「…小指?」

「角、ぶつけた……くッ…」

そろそろと視線をイザークの足にやる
イザークはグッと足の先を押さえていた

まさか小指を角にぶつけただけなのか…?





――ゴッ!!


労るように抱き締めていたイザークの頭から自分の腕を離す
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