小説

□欠けてしまったもの
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――自由な殺戮者の場合



「なら僕は君を、――討つ!!」


そう言って僕がバラバラにした機体に乗ってたのは幼なじみの親友だった
彼なら大丈夫、強いから大丈夫
だっていつもそうだった

だから今回も、とバラバラにした赤い機体が海へ落ちたのを辛く思いながらカガリの元へと行こうとその瞬間



空気が震えるような轟音が響いた



背後が水しぶきが盛大に上がる
海面に居た戦艦が波に呑まれるのを呆然と見つめた


何が起きたの?


その後はどう戦闘が治まったのか知らない
どうAAに帰ったかも覚えて無い

ただカガリに打たれた左頬が熱く火照った感覚しか分からなかった









まさかあれは、
足取りも覚束なくて自室のベッドで膝を抱える

でも彼は、
膝に額を押し付けてもさっきの事に実感が湧かない

だってそんな筈、
いつも通りにしただけ
武器、手足とかを壊しただけでコックピットは狙って無い

僕が彼…アスランを、
――トリィ…
肩に馴染みのある重さが乗る
その時、涙が流れた

そう、これは夢なのだ
長く長く怖い怖い悪夢
だから誰か僕の肩を揺すって起こしてよ
誰か名前を呼んで助けてよ
だって有り得ない


(殺すつもりは全く無かったのに!)
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